第59回江戸川乱歩賞を受賞した作家、竹吉優輔の青春ミステリー小説『レミングスの夏』が映画化。10月1日(日)から公開となる。お笑いコンビ「まえだまえだ」の弟で知られる俳優の前田旺志郎さんが主人公の南木秀平役を務める。そして、ヒロインの白石宏美役を演じるのは、平塚麗奈さんだ。現在、中学3年生の15歳。
⇒【写真】平塚麗奈
大手ヘアケア製品のCMで中学生モデルの美女として注目を集めた彼女だが、今作で女優デビュー。ヒロイン役に抜擢された。そんな平塚さんにその心境や撮影の裏側、プライベートの青春まで詳しい話をうかがった。
◆ヒロインの宏美と似ている部分が多いと気付いた
中学2年生、14歳の夏。悲しい過去をもつ幼なじみの5人は、ある計画のため、主人公のナギ(南木秀平)を中心に「レミングス」を結成する。しかし、自分たちのしようとしていることは正義なのか、それともただの犯罪なのか……。葛藤しながらも人生を賭けて計画を実行に移す。
平塚さんが演じる生徒会の宏美は、レミングスの目的達成のために誘拐されてしまう。彼らの行動に当初は反発するが、真実を知るうちに心情が揺れ動いていく。そんな難しい役どころでもある。
――宏美役に抜擢されたときはどう思いましたか?
平塚麗奈(以下、平塚):演技をすることが好きなのでオーディションにはウキウキして臨みました。でも現場では、やっぱり緊張感があって。作品を何度も読み込んでいたので感想をアツく語ってしまったのですが、あまりうまく伝えられなくて……。てっきりダメだと思っていたけど、合格の連絡がもらえたときは、本当にうれしかったです。とはいえ初めての映画で、しかもヒロイン役。撮影は去年だったのですが、友達はみんな夏休みなので遊びに行こうという誘いもたくさんありました。でも私は宏美の役になりきろうと思って。ひたすら台本を読み込んでいました。
――『レミングスの夏』は小説の原作がある作品です。難しいと感じたことはありますか?
平塚:はい。でも宏美の気持ちがわかれば、自分らしい演技ができるのではないかと思って。原作を何度も読んでいくうちに、生徒会という設定や宏美の性格など、私と似ている部分が多いことに気付いたんです。彼女の自分の意志を曲げずに筋を通すところや意見を強く言う性格なんかはすごく共感できる。じつは、私も中学校で生徒会と学級委員をやっていたんですよ。字がきれいだからという理由で書記だったんですけどね。でも、責任のある仕事を自らやろうという意識はあって。いろんな委員会や係を掛け持ちしすぎて、担任の先生からは「さすがにやりすぎ」とストップがかかってしまったぐらい(笑)。
――では、実際に宏美役を演じるなかで大変だったことはありますか?
平塚:宏美は最初と最後のシーンで考え方がまったく変わるんです。でも彼女の性格は、自分を曲げないまっすぐなタイプ。そんな宏美がレミングスのメンバーと関わっていくなかで、葛藤しながら少しずつ変わっていく様子をどうやって表現するか。小さな表情や動きも意識しました。あと、少し過激なシーンもあったので、脚本を読んだときは正直「これを私がやるんだ……」って戸惑いましたけど。同時に、これがプロの女優として演技をすることなんだなって実感もわきましたね。
――撮影のときに楽しかった思い出はありますか?
平塚:お昼はスタッフやキャストもみんなでご飯を食べるんですけど、撮影に協力してくださった茨城県・取手市の方々がカレーを作ってくれて。それがすごく美味しかったんです。「応援してるよ」とか「頑張ってね」って声もかけてもらえて、励みになりました。あと、真夏だったのでスイカも食べて。きちんと夏を楽しめましたよ。
――今回の映画の見所や楽しみかたを教えてください。
平塚:ナギ(南木秀平)、アキラ(千葉旭)、レミングスの他のメンバー、私(白石宏美)、警察、それぞれの視点で見ることができると思います。ぜひ自分と重ねてみてほしいですね。今作は、喧嘩したり、泣いたり、ドキドキできるシーンがたくさんあります。私は、最後の最後のシーンを見て自分でも泣いてしまったぐらい。あとは、中学生の行動力とか、こんなにできるんだってところを見てほしいですね。
◆だれもが経験する“中学生時代の夏”
<ぼくらはまだ、あの夏から出られない。>
だれの心にもある甘く、苦く、切ない思い出……。今回の作品は、中学生の少年・少女たちの夏を描いた物語である。平塚さんも宏美と同じ中学生。果たして、その素顔とは?
――平塚さんが今後やってみたい役を教えてください。
平塚:いままで2つの映画に出させていただいてます。ヒロイン役と、ヒロインのライバル役をやっているのですが、どっちも少し生意気だったり気が強い性格で。だから、次はすごく優しい性格とかキャピキャピした役をやってみたいですね。
――ちなみに、本来の平塚さんはどちらの性格なんですか?
平塚:うーん、どっちなんでしょう(笑)。とりあえず自分ではそう思わないんですが、まわりからは“天然”って言われることもあります。靴下を左右反対に履いていたことも……。
――映画のなかでは「夏」でしたが、プライベートでは今年の夏はどう過ごされましたか?
平塚:今年はお祭りや家族旅行で岐阜に行ったり、とっても満喫しちゃいました。でも、じつは受験生なんです。途中でさすがにヤバいと思って勉強をはじめたら、みんなが先に頑張っていて……ちょっと焦った夏でした。
――『レミングスの夏』は、青春の物語でもあると思います。では、平塚さんにとって「青春」とは?
平塚:青春と言えば……恋というイメージですよね。『スカッとジャパン』(フジテレビ)というテレビ番組の「胸キュンスカッと」というコーナーが好きで。女子同士で喧嘩したり、悪役が出てきて男の子と女の子の仲が悪くなるんですけど、男の子がキュンとするセリフを言ってカップルになる、みたいなのに憧れます。でも私自身は好きな人もいないし、そういう経験もないんですけど。でも「女の子は恋をすると綺麗になる」って言うじゃないですか。だから、漫画のイケメンとかを見てキュンキュンしてます(笑)。
――週刊SPA!(日刊SPA!)は、サラリーマンの読者が多いのですが、働いている男性についてどう思いますか?
平塚:スーツが似合う男性はカッコいいなって思います。私は人間観察が好きで、電車のなかでサラリーマンの男性を見ていると、朝・昼・晩と違った表情をしていて。うちのお父さんも朝は早くて夜は帰りが遅かったり、普段はすごく疲れていると思うんですけど、それでも休日に私をどこかに連れていってくれたりして。だから、お父さんも含めて、サラリーマンの皆様には「ありがとう」って感謝の気持ちでいっぱい。お仕事大変だと思いますけど、頑張ってほしいなって!
――では最後に、将来の夢を教えてください。
平塚:もともとはモデルになりたくて芸能界に入ったんですけど、演技もやらせていただいて、今すごく楽しいんです。表情や気持ちを表現することだったり、モデルも女優も「演じる」という意味では共通していると思うので、両方頑張っていきたいです。将来は海外でも挑戦してみたくて、英検の勉強もしています。この前、準2級を受けたら合格まであと2点足りなかったので、次こそはって思います。私、イメージをすることが好きで、じつは自分がおばあちゃんになったときのことまで考えていたりするんです。だから、色んなことに挑戦して、将来の可能性を広げていきたいと思います。
<取材・文/藤井敦年、撮影/山川修一>