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総製作費3億円、初のオリジナルドラマで垣間見えた「AbemaTV」の本気

ORICON NEWS

先日、インターネットテレビ局「AbemaTV」は、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が出演する『72時間ホンネテレビ』で記憶と記録の両面で“革新”を起こした。その制作手法には「地上波とは違う“尖った番組を作る”」という明確なコンセプトがあるという。そして今回、「AbemaTV」は2016年4月の開局以来初となる完全オリジナルの連続ドラマ『#声だけ天使』を2018年1月15日より配信。総製作費3億円以上、近年少なくなった“脚本ありき”のキャストオーディションなど、本ドラマからは「AbemaTV」の“本気”が見えてくる。

注目の脚本は、「劇団扉座」の座長であり、『スーパー歌舞伎IIワンピース』、『劇団EXILE「影武者・独眼竜」』、『HKT48指原莉乃座長公演』などを手掛けた演出家・横内謙介氏。今作のエグゼクティブプロデューサーであるサイバーエージェント・藤田晋社長から「今のテレビのやり方とはまったく違う方法でアプローチしたい。完全なオリジナル作品で、まず脚本作りを先行させ、その脚本にふさわしいスタッフ、キャストを探すつもりだ」という熱烈オファーを受けて快諾。実際に“脚本ありき”の計画は成就し、横内氏は「尾形(竜太郎)監督が全員オーディションで選んだという出演者たちは、失礼ながらほぼ初めてお名前を聞く方々でした。誰一人、名前で選ばれていない証拠です。当初の志が見事に貫かれていることに、身震いがしました」と感激したという。

前述の通り、今作の監督はNetflix『アンダーウェア』などを手掛けた尾形氏が担当。「監督の依頼を受けたとき、藤田さんの考えがパンクで面白いなと共感しました。どうせパンクにやるなら、もう2度とやれないことをやってやろうと、メジャーキャスティングをやめて主役から全てオーディションで選ばせてもらいました」と自ら選考。「視聴者の皆様、どうぞ遠慮なくツッコミコメントをガンガン入れながら楽しんでください!」とコメントを書き込みながら見るというネット番組ならではの楽しみ方を提案した。

なお、声優がテーマの本作には、豪華声優陣16人が“声だけ”ではなく“顔出し”でゲスト出演する。1話には『ドラゴンボール』の孫悟空役などでお馴染みの野沢雅子のほか、古川登志夫、柿沼紫乃、野島健児、白石涼子、阿座上洋平、大和田仁美が出演。以降、神谷明、千葉繁、緑川光ら第一線で活躍する人気声優が多数登場する。

15日より配信される第1話では、“脚本ありき”な物語だけに、夢を追う若者たちのリアルな心情が描写され、横内氏ならではの舞台のようなハイテンションな作劇が展開。横内氏もブログで第1話の試写会を鑑賞したことを報告し、「有名俳優が出演しないことが、ショボいのではなく、むしろ豊かなことだと感じさせてくれる。これは声高に、自慢したくなることだ」と熱弁。また、『救命病棟24時』(フジテレビ系)などを手掛けたフジテレビ・エグゼクティブディレクターの河毛俊作氏と偶然出会い、“脚本ありき”の手法について「それが本来あるべき姿なんですよ」と言われたことを明かした。ネット番組という自由度の高いフィールドから、既存のドラマの価値観を打ち破るような作品となるか注目したい。

ふるさと映画祭

2023年12月8日(金)~12月10(日)

秋葉原UDXシアター/富士ソフトアキバシアター