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秋元康の新たな挑戦 デジタル声優アイドル「22/7」

NIKKEI STYLE
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 制服姿のアニメの女子キャラクター8体から、生身の少女たちが浮かび上がる――。7月22日、度肝を抜く仕掛けのお披露目で話題をさらったのが、デジタルアイドルグループの「22/7」(ナナブンノニジュウニ)だ。9月にはデビューシングルを発売。AKB48などを世に送り出した秋元康が新たに手がける「デジタル声優アイドル」のプロジェクトが着々と進んでいる。

 総合プロデュースは秋元康。ソニー・ミュージックレコーズ(SMR)が音楽、アニプレックス(ANX)がアニメ制作を担当。2016年10月にプロジェクト発表、17年7月に初ライブ、9月にデビューシングルリリースと矢継ぎ早の展開だ。
 アイドル界で、AKB48グループなどを国民的存在にした秋元。一方、アニメ界でも「ラブライブ!」などアイドルものは大人気。今回のデジタル声優アイドルは、その両者と何が違うのか。
 「まず、選考基準が『声優』であること。キャラクターありきというのが、通常のアイドルとは異なります。秋元康さんから『デジタルアイドルを作りたい』とお話をいただき、グループ内のアニプレックスも入れてプロジェクトを立ち上げました」(SMR担当者)
 アニプレックスはアイドルアニメの先駆的大ヒット「アイドルマスター」を擁する。「我々の培ってきたもので秋元さんの要望を最大限に生かそうと考えた」(ANX担当者)と言い、8人のキャラクターそれぞれに日本のアニメ界をけん引する描き手8人を充てた。
 「プロフィルや性格など、設定は秋元さん自らが文に起こし、堀口悠紀子さん(『けいおん!』)はオタクキャラの滝川みう、田中将賀さん(『君の名は。』)はお嬢様・ツンデレキャラの戸田ジュンなど、ご自分で描きたいキャラを選んでいきました」(同)
 こうして一人ひとりが主役を張れる個性豊かな8人が出来上がり、演じたいキャラクターをめがけて、1万325人もの志望者がオーディションに応募してきた。
 以前、秋元が手掛けたアイドルアニメ「AKB0048」はAKB48というベースがあったが「22/7」はゼロから。16年12月の最終審査では8人のキャラクターに対し11人が合格となり、結果、5月の配役発表時では3人があぶれた。

 売り出し方も独特だ。本格始動に向けて11人がライブ配信プラットフォームSHOWROOMからの生配信や文化放送のレギュラー出演、朗読劇などを積み重ねるのと並行して、アニメ誌「月刊ニュータイプ」で秋元の詞と堀口のイラストによる連載を開始。8月に公開されたミュージックビデオはライブの時のように、モーションキャプチャーを使用したフル3DCGでキャラクターとアーティスト自身両方を組み合わせる。
 「アニメは制作に時間がかかるため、年単位でプロジェクトを計画します。でも、秋元さんはお客さんの反応を見て一気に仕掛ける。また、22/7は音楽、アニメ、マネジメントのすべての機能が同じグループにあるため、柔軟に対応できます」(ANX担当者)
 まずは9月のデビューシングル「僕は存在していなかった」をリリース。アニメの制作はこれからだ。「アイドルものの醍醐味は、努力する姿を応援することにある。今回はこれに『声優になる』も加わる」(SMR担当者)。音楽とアニメ、両者の経験値を生かしファン心理をつかむボーダーレスなプロジェクトは、今後エンタ界に旋風を巻き起こす可能性を秘めている。
(「日経エンタテインメント!」10月号の記事を再構成。敬称略。文/平島綾子)
[日経MJ2017年10月13日付]